地域と企業が共創する小麦の調達と次世代育成の取り組み
北海道新聞デジタルによれば、株式会社トリドールホールディングスは香川県丸亀市の離島・讃岐広島にて、市立広島小・中学校の児童とともに行った小麦の栽培からうどんづくりまでの食育プログラムを発表しました。人口減少や高齢化が進む地域において、食材の生産から加工までを一貫して体験させるこの試みは、食の川上から川下までをつなぐ重要な実践です。食品メーカーや製粉事業者にとっても、地域資源を活かした調達のあり方を考える上で多くの示唆を与えています。
心の本店を拠点とした小麦栽培と実践的な食育プログラム
トリドールHDが讃岐広島に開設した研修施設「心の本店」を拠点に展開された本プログラムでは、2025年11月から小麦の種まきが開始されました。ここで言う研修施設とは、従業員のスキル向上や地域との交流を深めるための拠点を指します。2026年6月には成長した小麦の収穫と脱穀を手作業で行い、同年7月に自ら育てた小麦を使ったうどんづくりを実施しました。大規模な機械化が進む現代の穀物流通において、手作業による一連の工程を体験することは、原料への理解を深める貴重なプロセスと言えます。
地域資源を活用した共創型地方創生と今後の調達視点
トリドールHDは2022年に丸亀市と地域活性化包括連携協定を締結しており、今回の活動は地域住民や学校、自治体と企業が連携する「共創型地方創生」の一環として位置づけられています。私たちは関西を中心に全国の食の現場へ穀物を届ける専門商社として、こうした生産者や地域社会とのつながりを重視した原料調達の価値を日々実感しています。単なるコストや効率性だけでなく、どのような背景や物語を持って育てられたかという「顔の見える流通」の視点は、これからの商品開発において消費者の信頼を得るための重要な差別化要素となります。
仕入れや商品開発を担当する事業者にとって、原料の調達先や品種を選ぶ際には、その作物が育った産地のストーリーや地域との関係性に目を向けることが推奨されます。WELSEEDが十勝で培った契約栽培の背景と同様に、生産者と買い手が密に連携できる体制は、品質の安定供給だけでなく、生活者に響く付加価値の高い商品づくりへと直結します。
穀物の調達・生産における主なアプローチの比較
| 項目 | 効率・コスト重視の調達 | 共創・産地指定型の調達 |
|---|---|---|
| 中心視点 | 調達コストの抑制と安定した流通量 | 品質、品種特性、地域のストーリー |
| 関係性 | 商流を通じた一般的な卸売 | 契約栽培や生産者との直接的な連携 |
| 商品開発への影響 | 汎用性の高い仕様に対応しやすい | 差別化やブランディングに繋がりやすい |
よくある質問
Q. 産地指定や品種指定を行うメリットは何ですか?
A. 用途に最適な加工適性を持つ原料を選ぶことで、製品の歩留まりや食感を向上させることができます。また、地域のストーリーを付加価値として商品企画に活かせるため、他社製品との差別化を図りやすいというメリットがあります。
Q. 契約栽培による調達はコストが高くなりますか?
A. 一般的な市場流通品と比較して初期の価格設定がやや高くなる場合もありますが、品質のブレが少なく、長期的な安定供給やブランド価値の向上につながるため、トータルでのメリットが大きいと評価されています。
Q. 小麦粉の調達において、国産小麦を選ぶ際のポイントは何ですか?
A. グルテンの含有量や製粉時の特性といった加工適性を確認することが重要です。また、どの地域のどの生産者が育てたものかというトレーサビリティを明確にすることで、安全・安心を訴求する商品開発が可能になります。
まとめ
地域資源を活かした小麦の栽培やうどんづくりの事例は、食の川上から川下までのつながりを再認識させる契機となります。食品メーカーや製粉・製餡事業者は、単なるコストパフォーマンスの追求にとどまらず、品種や産地にこだわった原料選びを進めることが求められます。顔の見える流通や確かな加工適性を意識した調達を通じて、消費者に選ばれる魅力的な商品開発を実現しましょう。
