有機大豆作の栽培管理対策
有機大豆作の作付規模や圃場の気象・土壌条件等の営農環境に応じて、適宜必要な技術を選択して栽培する。
播種時の湿害対策
種子の調湿
保管中の大豆種子は予想以上に乾いているので、これをそのまま水中に浸けると急激に水を吸収して大豆が膨張し、この過程で種皮が破れたり、ひびが入ったりする。播種後にこのような状態になると大豆の種子は発芽能力を失うか、発芽までの時間が遅れ、発芽した苗も弱々しいものになる。
そこで、保管中の種子の水分をある程度高めてから播種をすると、播種後の降雨で大豆が一時的に水に浸かっても発芽を維持できる。予め大豆の子実水分を高めておく操作を「調湿」と呼んでいる。調湿は以下の手順で行う。
- 新聞紙を水稲育苗箱(60cm×30cm) の大きさに切断して水に浸す。
- よく水切りを行い、水稲育苗箱に3 枚程度敷く。
- 大豆種子1kg を育苗箱全体に広げ、その上から上記の新聞紙をかける。
- 必要量の箱数を用意したら、積み重ねて全体をシートで覆う。
調湿には3 日程度かかり、その後は種子が乾燥しないように密封して冷所保存し、1 カ月以内に使用する。また、調湿後の大豆は爪で強く押して軽く爪痕が残る程度になる。
なお、農研機構九州沖縄農業研究センターでは、子実水分量10%の種子を24 時間で15%に加湿することが可能な「空気循環式大豆種子加湿装置」を開発し、宮崎県等で利用されている。
有芯部分耕起
有芯部分耕は、農研機構東北農業研究センターが開発した湿害回避のための耕耘法である。市販ロータリーの爪の除去や付け替えて作条部分(幅約20cm) だけを不耕起にすることで、余剰水は畦間の耕起部へ移動するので湿害軽減になると同時に不耕起部分が水分を保持する乾燥害を防止できる。本法は中耕・除草などの管理を従来通りできるため、有機栽培での導入は容易と見られる。
技術内容は次下のサイトを参照されたい。
東北農業研究センター: https://www.naro.go.jp/laboratory/tarc/contents/yuushin/index.html
畝立て播種法
地下水位の高い平坦な水田地帯や重粘土壌の水田では、各種の排水対策をとっても、大雨が降ると、どうしても圃場の湛水時間が長引き、湿害を受けやすい。そこで、(独) 農研センターでは、重粘な土壌の砕土に能力の高いアップカット(逆転) ロータリーにより、耕耘と同時に畝立てを行い、後方に施肥・播種機を取り付け1 工程で作業を終わらせる効率的な耕耘法を開発した。また、岩手県農業研究センターでも、同じようなねらいをもって、代かきハローをベースにした小畝立て播種栽培法を開発した。
両方式とも湿害回避と合わせ増収技術として普及が始まっており、中耕・除草などの管理は従来通りできるため、有機栽培でも導入可能と見られる。技術の内容は以下のサイトを参照されたい。
- (独) 中央農業研究センター:https://www.naro.go.jp/
- 岩手県農業研究センター:https://www.pref.iwate.jp/agri/nouken/
中耕・培土
中耕や培土は、土壌の物理性を改善して大豆の根張りを良好にしたり、大豆が倒伏しないよう支持したり、不定根の発生を促すために行われる。これは同時に、除草効果もあるため大豆の有機栽培では地域に関係なく一般的な除草対策として行われる。
中耕・培土によって高い除草効果を発揮させるには、栽培初期に適切に実施することが重要である。一般には、播種後7~10 日目には1 回目の中耕を行い、その後も10~14 日おきに実施する。中耕にはロータリーカルチベーターや爪カルチベーターが用いられるが、爪カルチベーターの方が除草効果は高いとされている。
培土はカルチベーターの後ろに培土板をつけて行うが、畝間を広く取ると大豆の株元まで培土されにくくなるので、そのような場合は培土板の大きさを変えたり、土壌が遠くまで飛ぶようにトラクターの速度を速めることなどの工夫が必要である。中耕・培土の実施回数は、他の作業との兼ね合いや天候によって左右されるが、開花前までにできるだけ多く行うと効果が高い。
カルチベーターに鉄斧のようなアタッチメント(商品名: Eカッター君) を装着し、根際も中耕することで土壌を膨軟にし、排水性を高めることもできる。宮城県の有機大豆栽培では、この根際中耕で圃場の排水性を高めた結果、マメシンクイガの被害が減少した事例もある。
灌水
大豆は開花期から着莢期、子実肥大期にかけて大量の水を必要とする。この時期に土壌水分が低下すると、落花や落莢が多くなるとともに、子実肥大期間を短縮させ、莢重及び子実の生育を阻害する。干ばつは根粒菌の活動も大きく低下させるため、百粒重が低下する。また、子実が付かないことで、子実にいくべき栄養が茎に残り、収穫時期になっても茎が枯れ上がらない青立ちや莢先熟が発生する(全国農業改良普及支援協会HP)。平坦な水田地帯では地下水位が比較的高いものの、ブロックローテーションなどの集団的な転作が行われる場合には、晴天が続くと特に重粘土壌では畝間に亀裂が生じるようになる。
土づくりが進み土壌の排水性や保水性が高く耕土も深い圃場では、大豆の根茎が深く入っており、多少の干ばつも乗り越えることができる。しかし一般に、転作大豆では耕盤により根の伸張が妨げられている上に、平坦な田面からくる多雨時の地表排水の悪さもあって、大豆の根の伸張が地表近くに多く分布しているため、水ストレスを強く受けやすい。そこで、開花期から登熟期にかけての大豆の葉が内側に巻くようになったら灌水を行うことが望ましい。灌水時期の目安は、無降雨日数で7~10 日とされている。なお、土壌水分の状況に応じて栽培者が客観的に灌水時期を判断できる安価な土壌水分目視計が市販されている((株)藤原製作所HP)。
灌水の方法は、圃場に畑灌設備がある場合を除いては畝間潅漑が一般的である。灌水は温度の低い夕方から朝方に行う。灌水を行う場合は、土壌全体にまんべんなく水を行きわたらせないと、根の下方部への伸張を妨げるほか、夏の猛暑の時期には根や根粒菌に対し高温水の影響を与えることになり、悪影響をもたらすので、確保できる用水量も考慮して灌水に踏み切る必要がある。圃場内の滞水は根や根粒菌が湿害に弱いため、水がまんべんなく行きわたれば落水する。また、圃場の排水性が悪い場合には、畝間への灌水量を加減する。一旦灌水を開始すれば、大豆根や根粒菌に対する影響も考え、無降雨が続けば6~7 日おきに実施する必要がある。
なお、地下灌漑方式は、大豆に生育の段階に応じて地下部の水分管理を適切に行うことができ、例え播種時に干ばつに遭遇しても地下水位をある程度高め、生育期には40~50㎝程度に保つことによって大豆及び根粒菌の水分ストレスを低下させることができ、生産力と作業性の向上に寄与することで成果を上げている。
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