温暖地における有機大豆作技術2

事例紹介

田畑輪換で高単収の有機大豆作 -大豆・麦・水稲の3 年6 作輪作を実施-

経営概要

佐賀県の中央部に位置し、穀倉白石平野南部平坦水田地帯の一角に立地している。平均気温は15.8℃、平均降水量は1853mm、初霜が11月上旬、終霜が4月上旬の温暖多雨な地域である。有機農業の取組は1985年に江北町産業課とともに始め、1997年に有志で江北町有機農業研究会を立ち上げ、水稲、大豆等の有機栽培を始めた。販売先は東京の有機食品販売店及び町内の有機農産物の卸業者である。
経営耕地面積は15haであり、水稲、麦、大豆の作付けが中心である。大豆の作付面積は4.5haであるが、大部分は佐賀県の認証制度の特栽D(減農薬、減化学肥料栽培) による特別栽培として行っており、有機栽培面積は65aである。

大豆の栽培概要

栽培品種は県奨励品種の「フクユタカ」を使用している。播種日は、通常の県指導基準の播種適期では播種期が梅雨に当たり発芽が不揃いになるので、梅雨明け直後の7 月20 日前後に行っている。この時期は梅雨が明け圃場が乾いており、その後も降雨が期待できないので、土壌水分を減らさないようにトラクターで麦わらを鍬込み、2 畦成形同時播種を行っている。ただし、この栽培法は、作業機を水平に保つ必要があり、作業機が水平になっていない場合、できた畦は一方が高く、もう一方は低い畦になると、大豆の発芽が不揃いになるという問題を抱えている。
播種密度は株間21cm、条間75cm、畦高10cm、畦幅1.6m(2条)、栽植密度6,000株/10aとしており、この時期の栽植密度としては低いが、慣行栽培も同様のやり方で栽培している。
収穫は大豆専用コンバインで行うが、共用利用のため、時に年を越すなど適期収穫ができていない。収量は320kg/10aで、地域の慣行栽培の収量(220kg/10a)を大きく上回っている。最近は青立ち株が出ているのでその対策を取りたいが、原因は不明である。

排水・土づくり・施肥対策

土壌は灰色低地土であるが、暗渠が施工されているので、比較的水はけは良い。
ブロックローテーションにより、3年6作の輪作体系(大豆-小麦-水稲-小麦-水稲-小麦) を取っている。イネ科中心の輪作体系なので粗大有機物の投入は避け、窒素施肥は行わず、小麦作付け前に生石灰60kg/10aのみを施用している。

雑草対策

田畑輪換により、3年に1回の大豆栽培のため雑草は比較的少ない。播種後は、お盆前に2畝同時中耕培土機により中耕・培土を1回行っている。発生雑草はホオズキグサと外来アサガオである。収穫時に外来アサガオの蔓が大豆に絡まり、機械に負荷がかかることが問題である。

病害虫対策

ハスモンヨトウ対策にはBT剤を使用しているが、今後は出荷先からの要請で散布を見合わせる予定である。紫斑病は収穫後、調製時に色彩選別機にかけてより分けているので問題はない。

無肥料栽培での安定した有機大豆作 -土づくり進み茎葉残渣鋤込だけで対応-

経営概要

熊本県菊池市の平坦水田地帯に立地している。有機農業は祖父の代より親子3代で受け継いでいる。
経営面積は9haで、作付面積は水稲5.5ha、大豆2ha、他1.5haである。
有機JAS認証は2000年に熊本県有機農業研究会で取得した。大豆は加工向けが主体であるが、今後丸大豆での販売を多くしていきたい。これは、大豆の作付けは土づくりの意味を込めて、主に新規に増えた圃場に作付けし、それを数年続けているため、生産物が増えているからで、新たな需要先が必要である。
所有圃場の土壌は、菊池川流域の灰色低地土と台地上の火山灰土壌の2つに大きく分かれる。
大豆の栽培は台地上の水田で作付けしている。

大豆の耕種概要

品種は「フクユタカ」(奨励品種) で、播種は7月15日~20日頃に行う。播種密度は株間10cm、条間80cm、2 粒播き(12,500 株/10a)で、周囲の慣行栽培より若干の疎植としている。播種密度が少し広い方が、大粒となり屑大豆が減るので、経営上有利であると考えている。
収穫時期は11月中旬頃で、農協から大豆専用コンバインを借りている。収穫した大豆はフレコンバッグで貯蔵しておき、出荷時に農協の機械センターで粒径選別を行ってから出荷している。
単収は180kg/10aと多くはないが、年次変動は小さく安定している。

排水・土づくり・施肥対策

]水はけが良いので特に排水対策は行っていない。
「裸麦-大豆」の輪作大系により、有機物は茎葉残渣の鍬込みのみで土づくりを行っている。耕起は裸麦収穫後の6月中旬頃に麦わらの鍬込みを兼ねて行い、約1カ月後の7 月中旬にロータリー耕と同時に播種を行う。この時の耕起は浅めに行い、毛管水を切らないようにしている。施肥は全く行わず、収穫残さを返すのみである。裏作の麦作でも施肥は行っていない。施肥を行わないので有機肥料による根やけなどの生理障害が起きず生育が安定するため、安定した収量が得られると考えている。

雑草対策

雑草対策は中耕、培土で対応しており、雑草が十分に抑えられなかった時は、収穫前に手刈りで対処している。中耕・培土は播種から3週間後くらいに1回だけ行う。雑草がうまく抑えられた場合は、これ以上は行わないが、通常は雑草が抑えられないことが多く、中耕・培土を2~3回行っている。
「有機農業だから、草が生える」と思われるのがいやなので、畦草や圃場内の雑草には特に気を遣って対処している。

病虫害対策

特別な病虫害策は行っていないが、畦草刈りは月1回以上行っており、カメムシの飛来防止に役立っているとみている。基本は作物を健康に育てることで、作物が健康であれば病害虫の発生はないと考えている。そのため、有機JAS認証資材等は用いずに栽培している。

除草の徹底による大規模有機大豆作 -大豆・雑穀の4 年8 作型輪作体系-

経営概要

菊池平野東部山麓部の標高130m前後の地で約20ha の耕作を行っている。
土壌は黒ボク土で水はけの良い圃場と、河川に近い灰色低地土の水はけの悪い圃場からなる。水はけの良い圃場では水稲- 麦類や雑穀- 麦類の1年2作を、水はけの悪い圃場では水稲単作とするなど、圃場の排水条件により作物の作付けを変えている。
経営の主体は雑穀、米、麦、大豆などの作物が中心で、加工販売も行っている(大豆加工に関しては: きな粉)。有機栽培は父の代からで、出荷先は健康志向を売りにした販売先が多く、有機栽培の価値を分かってくれているところが多い。加工での出荷は付加価値をつけ販売することができ、有機栽培であるということ以外にも優位に販売できる。
2011 年度の主要作物の栽培面積は、雑穀1400a、小麦1350a、裸麦580a、大豆300a、水稲150aとなっている。栽培は全て有機栽培で行っており、有機JAS認証については生産工程管理者を2009年、有機加工食品を2010年に熊本県有機農業研究会より取得している。

大豆の耕種概要

品種は「フクユタカ」を使用している。中生で栽培しやすいが、有機栽培では収穫が遅くなる傾向がある。種子の更新は3年に1度行っている。播種は7月中旬~8月上旬にかけて行い、栽植密度は株間5~10cm、条間65cm、播種数2~3粒/株、栽植密度15,000~30,000株/10aである。
収穫時期は11月下旬~12月中旬(慣行栽培:11月中旬)である。青立ちが多く、慣行栽培に比較して、収穫が遅れる。
汎用コンバインで収穫し、乾燥機で乾燥後、農協の機械銀行で選別機を借りて粒径選別を行っている。保管は倉庫業者の低温倉庫を借りて保存している。

排水・土づくり・施肥対策

大豆は湿害によって減収しやすいので、圃場は山に近い黒ボク土壌の圃場で栽培している。土づくりのために輪作を行っており、大豆の裏作に麦を栽培し、大豆2年、雑穀2年の4年8作の輪作体系で栽培している。
麦栽培終了後(6月中旬)、自家製完熟堆肥を3t/10a施用している。自家製堆肥は豚糞と牛糞を1 : 1で混合し、月に3回程度の切返しを行い、6~10カ月かけて作成する。完熟堆肥に自家製米糠ボカシを1t:100kgの割合で混合し、さらに1カ月発酵させて完成する。なお、鶏糞は抗生物質の残留が気になるので使用していない。

雑草防除・病害虫対策

大豆播種までに雑草をできるだけ発生させて、耕起を行い、初期の雑草発生を少なくする。播種前の耕起作業は最低3回行い、初期雑草の発芽を少なくし、大豆の初期生育が雑草より早く生長できるように心がけている。生育期間中の雑草は乗用型カルチローターを使用した中耕・培土で対応している。
中耕培土は、発芽から10 日目を目安に中耕除草を行い、その後2 週間置きに計3~4回中耕除草を行っている。ただし、収穫時に草が残っている時は手取り除草を行う。畦草は周辺農家に迷惑がかからないように、こまめに草刈りを行っている。

病害虫対策

病害虫対策は特に行っていない。有機JAS認証資材の使用も考えたが、地域の有機栽培に対する理解が得られておらず、薬剤散布を行っていると噂される危険があるので、使用していない。カメムシの発生は圃場によって差があるが、大きな被害はない。紫斑病は年によって発生の程度が異なるが、きな粉に加工し販売しているので、問題はない。

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