有機大豆作の問題点と有機栽培を成功させるポイント

有機大豆作の技術的問題点

大豆の有機栽培上の技術的問題点は、端的には病害虫の多発、雑草繁茂であり、これらから派生する労働時間の増大及び収量の低下や不安定性である。
大豆の有機栽培に関わる技術的問題点を挙げると以下の通りである。

病害虫が蔓延すると大きく減収する

病害虫による被害は受けない地域があったり、病虫害が発生しても気にならない程度という栽培者もいれば、最初は大変だったが4、5年目からは問題がなくなったという栽培者もいる。しかし、有機JASで使用が許容されている農薬があっても高価で使えないとのことで、虫害を理由に有機栽培を止めた例もあり、また、突発的に病害虫が大発生して収穫を断念した圃場もある。
有機栽培で特に問題視されている害虫は、北海道から東北にかけてはマメシンクイガ、ツメクサガなどの蝶蛾類、東北以南ではカメムシ類(ホソヘリカメムシ、アオクサカメムシ等)、関東以西ではさらにハスモンヨトウやウコンノメイガ等の蝶蛾類が加わっている。マメシンクイガは莢に産みつけられた卵から孵化した幼虫が大豆子実を食害するのに対して、ハスモンヨトウやウコンノメイガは茎葉や花を食害するので被害の出方は異なるが、いずれも防除対象害虫に指定されている。また、病害ではウイルス病や紫斑病対策が求められている。

雑草の抑制が難しく収量低下と労働過重を引き起こす

有機栽培で問題となる雑草害は、播種以降開花期までの生育期前半に発生する雑草による大豆の生育抑制と、開花期以降に発生する雑草による収穫作業や大豆品質に及ぼす被害の2つに分けられる。
生育期前半の発生雑草は、播種前の雑草発芽の抑制対策と、発芽・苗立ち後の中耕・除草によって抑草が可能である。ただし、降雨等で適期作業が行えない場合や、作業機械への投資、中耕作業に要する労力等の面での制約がある場合は対応が難しい。
生育後期に発生する雑草や残草は大豆の生育を阻害することは少ないが、コンバイン等に絡みつくので刈取り作業効率を著しく損なうほか、多汁質のイヌホウズキやイヌビエ等があると収穫した大豆子実に茎葉の汁液が付いて汚染粒の原因になる。
また、開花後の結莢期や結実期に入ってからの中耕・培土は大豆への悪影響を与える上に、大豆茎葉が圃場を覆うため機械除草が困難であり、生育期後半に雑草が大豆の草丈を超えて茂るようになれば単収は大きく低下する。
手順を追った適切な対応により雑草の制御は可能であるが、天候条件や作業の段取りが悪く除草作業のタイミングを失すると、手に負えなくなる場合が多い。大豆の発芽揃いがよく、初期生育が順調であれば、初期段階での中耕等で雑草は抑制できる。やがて大豆の繁茂により畦間への日照が遮られると、雑草の生育は止まる。しかし、圃場の排水不良による過湿や過乾燥などで大豆の発芽が不揃いになり、初期生育が不良であると雑草の繁茂力が高まり、大減収につながる。

転作大豆では排水不良が作柄を低下させている

転作大豆では排水不良により出芽から生育初期にかけて湿害を受けるほか、播種前後に梅雨期が重なると湿害による発芽・苗立ちが悪くなる。また、播種直後または開花期から結実期にかけては、干ばつによる生育不良がしばしばみられ、単収が低下する要因になっている。
大豆は特に湿害に弱く、発芽障害や生育停滞が起きやすい。生育期前半は根粒菌による窒素供給力が大きいが、排水不良などにより土壌中の酸素濃度が低下すると根粒菌の活性が低下し、大豆は発育不良となる。特に、地形的に平坦な水田地帯では、ブロックローテーションなどによる集団的土地利用が行われていない地域や、稲作田と大豆作付地が隣接している圃場では、湿害を受けやすい。

不適切な栽培管理が生育・登熟を妨げる

転作大豆では発芽・苗立ちが悪いと、これが雑草の繁茂を助長し病害虫の誘発要因となり、単収を低下させる。
また、大豆は窒素要求量の非常に大きい作物であるが、根粒菌の働きがあるのでやせ地でも育つとの間違った認識もあって、土づくりが不十分なやせ地での栽培がしばしば見られる。そのような圃場では大豆の生育が貧弱なため、これが雑草の繁茂を助長し、着莢不良や小粒化により単収が低下する。大豆は地力収奪力が大きいため、土づくりがされていない圃場や連作圃場では低単収を余儀なくされる。
一方、早期播種や有機質肥料の過剰な投入を行うと、いわゆる「つるぼけ現象」を起こし、生育量が開花・結実に結びつかない場合もある。大豆は根に着生する根粒菌と地力に対する依存度が強い作物であり、施肥窒素よりも地力窒素と根粒菌固定窒素を主体に生育するため、開花期以降は土壌からの多量の養水分が必要になる。そのため多収の前提として、肥沃度の高い土壌での栽培が必要と言える。

有機大豆作を成功させる技術的ポイント

有機大豆栽培が成立する要点は、発芽・苗立ちが揃うこと、開花期以降に多量の養水分を吸収できることに加えて、根粒菌の活性を高く維持すること、雑草との競合を回避すること、病害虫の発生が少ないことである。

排水性の良い肥沃な圃場で栽培する

大豆は生育期前半には湿害に弱く、特に発芽に際しては多くの酸素を要求する。圃場の排水性が悪い場合は発芽が揃わず、雑草を繁茂させる条件を招くほか、後に続く管理作業が遅れて雑草害や病害虫による被害を拡大する誘因になる。従って、大豆の有機栽培では排水不良の圃場を避ける必要があり、やむを得ない場合は圃場の排水対策を徹底的に行った後で作付けを行う。
具体的には耕土が深く膨軟で通気性が良く、土壌は透・排水性、保水性が高いことに加えて、保肥力が高くリン酸吸収係数の低い圃場が望ましい。こうした土壌は、慣行栽培、有機栽培に共通の理想的な土壌であり、有機物の連用と土壌中に生息する生物の働きが良くなくては成立しない。従って、有機栽培においても堆肥の施用はもちろん、輪作を組む作物の茎葉や根などの残渣の活用に加え、適正なリン酸、塩基の施用により排水性の良い肥沃な圃場づくりを心がける必要がある。

発芽が揃えば雑草の抑制は容易になる

有機栽培が失敗するケースの多くは発芽の失敗である。大豆の有機栽培で問題になる雑草が抑制できるかどうかは、大豆の発芽から茎葉繁茂期にかけての生育初期に、大豆の生育が雑草の発生・生育を上回ることができるかどうかにかかっている。
大豆は初期の生育が早いので、適期に中耕・除草を徹底すれば雑草の生育を抑制できる。大豆の発芽は土壌の乾湿の影響を強く受け、過乾燥や過湿条件では発芽が遅れるか発芽しない。タネバエや鳩などの鳥害等によっても発芽は不揃いになり、初回の中耕作業が遅れ雑草害を助長する。そのため有機栽培では、発芽力の高い種子を用い、播種期や土壌条件に合わせた耕耘・整地・砕土作業を心がけ、慣行栽培以上に斉一な発芽に気を遣う必要がある。
有機栽培農家が雑草抑制対策として工夫している対応策は以下のようなことである。

  • 播種前に耕種的な雑草の発芽抑制措置を徹底する。
  • 田畑輪換により雑草の繁茂しにくい環境を作る。
  • 適切な中耕・培土により雑草の発生を抑える。
  • 大豆の発芽・苗立ちや生育の向上によって除草労力の軽減を図る。
  • 狭畦密植栽培方式により雑草の繁茂する余地を低下させる。
  • リビングマルチにより雑草を抑制する。
  • 初期雑草及び大型雑草は手取り除草を徹底する。

病害虫の発生しにくい圃場環境を作る

大豆の有機栽培を難しくしている最大の要因として、虫害の発生を挙げている生産者や地域がある一方で、有機栽培農家の中には有機栽培の継続によって病害虫が減少しており、あまり気にならないとし、むしろ慣行栽培の収量レベルを安定して上回っている農家、地域もある。
一般に、雑草が繁茂する圃場では風通しや日当たりが悪く、圃場の過湿な条件から病害虫が発生しやすい環境になるので、雑草の抑制は重要である。また、病害虫の主因である病原菌密度やダイズシストセンチュウ数は連作により増加するので、大豆の3 年以上の連作は避け、田畑輪換やマメ科以外の作物との輪作により病害虫を抑制する必要がある。
一方、長期連作でも慣行栽培より高単収を維持している有機栽培の例もある。前後作の作物への有機物施用や茎葉残渣などにより土づくりが進み、圃場の生物多様性など生態的環境が整ってきている中で、病害虫の抑制が図られているのではないかと関係者は指摘する。
なお、大豆の主要害虫であるカメムシ類、蝶蛾類は、いずれも空き地や畦畔等の雑草が繁茂する日陰を主な住処として生息し、初夏から初秋にかけて登熟する大豆の莢や子実を主に加害する。従って、圃場周辺の空き地に繁茂する雑草群落を大豆の作付け前に刈り取るか焼くことで越冬虫の個体数を減らし、大豆の結莢期以降は逆にそれら群落を残すことで圃場内への侵入を防ぐことも可能である。

営農条件に合った品種と播種時期を選択する

営農条件と地域に適した品種と播種時期を選択し、健全な生育条件を確保して病害虫の発生や雑草の抑制を図り、低単収問題の打破を図る必要がある。有機栽培では、特に品種選択が重要である。地域に適合した作りやすく少肥特性をもつ在来種を選択している有機栽培者もいるが、予め需要先が確保されていないと販売量に限りがあり、在庫を抱えることにもなりかねない。
そこで、品種選択に当たっては、大豆交付金制度の対象になる県の奨励品種を選択して、収益の確保を図りつつ需要先を広げていく選択が一般的な道である。近年、種々の用途向けや栽培適性(病害虫抵抗性、温暖化対応性、機械化適応性など) を持った育種が進んでいるので、県の作物別栽培指針の中にある品種特性も参考にして、有機栽培への適応性を試作によって確認していくことが重要である。
有機栽培農家が品種と播種時期について工夫している対応策として以下のようなことが挙げられる。

  • 地域の条件に合った少肥性の在来品種を選択する。
  • 地域の奨励品種の中からその栽培特性と流通適性を考慮して選択する。
  • 害虫発生の少ない栽培管理が容易な播種時期を選ぶ。
  • 大豆の生育が早く、雑草の繁茂力が落ちる時期を考えて遅播きにする。

土づくりにより土壌の肥沃度を高め、生産を安定化させる

大豆は多量の窒素を必要とし、その大部分を根粒菌が固定する窒素と土壌から供給される地力窒素により賄うところに大きな特色がある。大豆の初期生育は緩慢であるが、開花期前後から急速に生長し、子実肥大期に再び緩慢になる。養分吸収も生殖生長となる開花期から莢伸長期にかけて旺盛となる。 
大豆の窒素養分を賄うために元肥としての窒素を増やしても収量が増加しない例が多い。これは、窒素を増施すると根粒菌の着生が減少するためとされている。大豆は生育初期には根粒菌により生育するが、開花期以降は退化し、地力窒素の発現や有機質肥料の施用効果が収量に大きく影響することがこれまでの研究で明らかになっており、堆肥等の有機質資材の施用により地力を高めておくことが重要になる。
有機栽培への転換を計画している圃場では、土壌診断結果を参考にしながら3年程度は年間3t/10a 程度の畜糞堆肥を投入して土づくりを行い、その後は作物の茎葉を鋤込む程度にすると良い、という慣行栽培の単収を大幅に上回る有機栽培の先駆者のアドバイスもある。また、大豆栽培地の土壌pH は6.0~6.5 になるように石灰質資材で調節するほか、リン酸吸収係数が高い火山灰土壌やリン酸分が欠乏している土壌ではリン酸の補給を行う。

大豆の特性に合った肥培管理を行う

播種前に堆肥や元肥を施さない圃場、連作圃場には開花期に追肥を行う

有機栽培では大豆への元肥を施用していない場合が多い。これは、土づくりができていれば前作の茎葉の鋤込みもあり、土壌中の地力窒素で十分育つし、じっくり育てた方が病害虫を寄せつけないという経験に基づいている。
また、元肥に化成窒素肥料を施用すると根粒菌が働かなくなり、炭素系の草質の完熟堆肥を施すことにより根粒菌が増えることが指摘されている。有機栽培では通常前作の茎葉を鋤込むか、圃場から茎葉を持ち出し1 年かけて完全に発酵させた堆肥を土壌動物や微生物の餌として与え、これにより土壌の団粒構造形成や地力の増強を図るという考え方もある。
一方、根粒菌による窒素の供給に依存した生育は莢伸長期頃から急速に衰えるので、開花期以降の窒素吸収を意識して追肥を行うことが単収を上げる上で必要として指導している県が多いが、有機栽培ではあまり行われていない。

開花期から結莢期の干ばつ時には灌水を行う

大豆は生育中期以降、水の要求量が急速に増し、特に生育が旺盛となる開花後の要求量が多いとされる。開花期以降においては水稲よりも多くの水分を必要としており、排水条件とともに土づくりにより圃場の保水力を高めることが重要である。
土壌条件にもよるが、開花期以降に長期間降雨がないと葉が萎れ、落花・落莢が多くなり、着粒数の減少と小粒化によって大きく減収する。土づくりの程度、土壌によって保水力は異なるし、地下水位によっても灌水の必要性は異なる。中途半端な灌水は、却って植物体自身の吸水を妨げ、灌水量が少ないと却って植物の生育力を低下させるので、一旦灌水を始めたら粒肥大期まで行うか、干ばつが終わるまで継続しなければならないので注意を要する。
灌水開始期の目安は開花期以降に晴天が1 週間以上続き、土が白く乾き、日中葉が萎れ反転するようになった時期である。
灌水は水田転作でこそ可能であり、通常は畝間灌漑とする。1 回に50~60 ㎜程度の灌水量になるので、2~3回に分けて行う。近年、水田としての利点を活かし、地下水位を自由にコントロールして水稲作にも畑作物にも好適な水分環境を与えられる「地下灌漑方式」が開発された。この方式は用排水分離の圃場整備田であれば、比較的安価な設備投資により敷設が可能なため、開花期であれば大豆の根群域に好適な地下水位を40 ㎝に保つことが容易になり、有機栽培の例でも10a 当たり300 ㎏以上の単収を実現している実践例がある。

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